2017-06

「利休の死」と「SとM」

……意外に大人の読み物なのかも……
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない/桜庭 一樹』(Amazonリンクです)読了しました。

歪んだ愛情表現-巷ではSとかMとか呼ばれるもの-でしょうか?
それが行き過ぎると殺人とか……
私が読んだ本の中で、そういうイメージを書いてた作家に
「新井素子」さんがいらっしゃいますね。
自分の恋人を殺してその肉を食べるシーンとかを生々しく描いてましたね。
……この本の”描きたい事”とは違いますけどね。

ちなみにこの本に出て来ます「当たったらヤバイクイズ」の答え、
犯罪者心理に立つと云うガイドと、今迄読んだ小説を総動員して出した5文字の
解答は『好きだから(すきだから)』かな……と。
……解答は違ってましたけどね。
推理小説の類はジャンル外なので、思考が今ひとつ足りなかったようです。。。
なるほど、そういう考え方をするのですか。。。これは結構面白いね。。。
ここまでスパッと割り切った物の考えをしないといけないのか。。。

読み始めに関しては、通常に傍観視出来ますね。
(作品のキャラクターに引き込まれず、神の目線で本を読むと云う感じかしら?)
この作品は、結句が最初に出て居まして、それに対しての解説をするタイプっぽくって
この手法も(ミステリー系では)私のあまり読まないタイプ。。。
犯人と犯罪現場が解っていて、情景を解いていく感じ?
ハラハラ感は全く無いので終始、傍観出来る。。。
作品最後に書いてましたが、
「どうやら世の中にはそう珍しくないこと」を表現しているとすれば、かなり精巧に
描けて居ると思います。

……で、世の中では”鬱小説”と言われていますが、私は、全くそういう感じは
しませんでしたね。それは主人公に入り込めないからでしょうね。

以下、物語の本筋に掛かりますので同色消ししておきます。
読む場合は[ctrl]+[a]か、マウスドラッグして下さいませ。

ただ、鬱小説と言ってる人の心理に近づこうとするなら、恐怖を味わうならば、
「ストックホルム症候群」と「マゾヒズムとサディズム」について理解して居ないと
だめなのではないかと思いますね。。。
(「ストックホルム症候群」は、作中で友彦が解説をしていましたが、小説の中の
お伽噺では無く、実際に起こっている事件なのです。
さらに詳しい心理学が知りたいならば、「リマ症候群」等も調べてみると
いいかもしれません。)

ただ、『主人公と完全に同化』してしまうと、ストックホルム症候群の為に、
物の善悪や逃げる事の基準が無くなってしまうので、悲惨さには近づけなくなって
しまうのですよね。だからこの本の場合、1.5人称で視れると一番良いのかも
しれませんね。
(作中28p「愛情表現と憎しみの区別がついていない」……これは正当な評価であり、
そして、それが正しいものだと思います。終始「山田なぎさ」と呼んでいる所も、
たぶん、完全に、まともな思考が出来て居ないと云う表現だと思いますし……
(これで、最後に正しく「なぎさ……」とか呼んでるシーンがあれば、それはそれで
物語だったのですが。。。確か、無かったよね?)
そして、58-61p迄の会話により、雅愛が好きで、お母さんは嫌いになっていることが
解る。(ストックホルム症候群であり、一種の”刷り込み”)
逃げられないのが「好きだから」なのか「子供で自活できない」からか、今一つ不明
ですが、174pの逃亡を喜んで受けたのなら後者になるでしょうね。
……ただ、私には、喜んで受けて居るように見えなかったのですが……
この辺の表現が曖昧なのが、私として、この小説に煮え切らない原因なのですが……
確かに、178pには「初めて見る嬉しそうな笑顔」をしていたと書いてはありますが、
藻屑の描写(言動)から見て取るには、あまりに情報が少な過ぎる……
それこそ、最後の科白に「なぎさ……」とか呼んでたら決定打になったのですが。。。
……もしくは、私の行間の読み方が甘いのか。。。)
(この辺につきましては、誰か、私に教えてくださいませ。)

「ストックホルム症候群」や、「リマ症候群」を考えた上で
「どうやら世の中にはそう珍しくないこと」と考えると、ある意味、
恐怖感が漂って来るかもしれませんね。
さて、そうなった時に、自分は”砂糖菓子”ではなく”実弾”が打てるのか……

ある意味、日本の中のみに居て、会社で働いて、税金を納めることを当たり前とし、
”普通”といわれる生活をしている……こういうのもストックホルム症候群なのかも
しれませんね。。。犯人=日本国(政治家等)・被害者=市民とか……
良く良く考えると”普通”と云う物などありえないものなのに、自分に言い聞かせて
あきらめてる……
そして、私(達)は、そういう政治家や国に対して
「怯えているようなあきらめているような悲しい表情」しか出来ないのかもしれない……

でも、個人的には、今ひとつの感があるライトノベルでした。
のめりこんで泣いたりとか鬱になったりとか、そういうのを期待して居たのですが、
そう云う事は全く無く、普通に読んでしまいました。
……ただ、色々考えさせられる事は多々有りますけどね。

あと、作者が何が言いたい(主文)なのかが、明確に見えて来ないのも、
私の考えが纏まらない理由の一つですね。
海野雅愛は、犬や藻屑の事を愛していたのかどうかとか、
雅愛があっさりと解いた、異常犯罪者用の問いと云われる問題も、
「それなら何?」と……。
私が最初に書いた答えなら、「歪んだ愛情表現の異常犯罪」と繋げる事が
出来るけど、じゃあ、雅愛は誰に”逢いたかった”の?
その答えが導き出されると云う事は、人を殺す事より、自分の逢いたい人の
方が上と云う事を価値基準の中で即答出来ると云う事でしょ?
……妻?

もうちょっと、犯罪に至る経緯とか、ストックホルム症候群迄出すのなら
藻屑の描写とかその辺が関連付けあっても(もっと深く描かれてても)
良かったのではないのかな、、、と。
もう、新井素子張りで、
「私、血を見るのが好きなのです、あと、ぐちょぐちょしてる様子も…」
と云った感じで、徹底的に嫌悪感をえがくような描写とか……(汗;。

勿論、記憶に残ってるシーンもありますが。。。
最後に、なぎさがミネラルウォータを買って飲んでみるシーンなんかは、
結構空虚感が出てて良い感じだし、その後の世界なんて、全く、今の事実と
変わって無く妙に物悲しさを感じますし。。。
悪い事でも、世間が面白がって流行ったり、そういう事例は腐るほど見てるし……

……たぶん、これは、女性向けに描かれた世界なのでしょうね。
男性的には、こういうものについては妙に醒めてる所があるからね、
「これが世間というものなんだ」って。。。
(まぁ、私だけなのかもしれませんが。。。)


最後に……
何処かの小説で読んだ記憶のある「利休の死」。
今、検索してみたら出てこなかったのですが、私的にあの小説は的確だったのでは
ないかな……と。
「秀吉が、利休の屋敷の朝顔を愛(め)でる為に行くと、
全部刈られていて無くなって居た。
……茶室にはただ1輪だけの朝顔が……」と云う逸話ですが。。。
その時、利休は秀吉に風流を教え、秀吉も感服したという話ですが、、、
これは利休の与えた”弾丸”だったのではないかな……と。
秀吉の心にじわじわと効き始める弾丸……

砂糖菓子の弾丸で戦って果てるのなら、私は、せめて相打ちにもっていきたいですね。
そう、この千利休のように……
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コメント

新井素子の

小説でカニバリズムの場面があったと言うと…「ひとめあなたに…」かな?

隕石が堕ちてくる(と書くと堕ちてくるのがアクシズっぽく聞こえるのは気のせい?)
か何かで、後1週間で人類が滅びると言う状況の中、ヒロインが遠く離れた場所に
いる恋人に会いに行く話。

その道中で出会う様々な人間模様の中にそんな話があったような、なかったような。

新井素子の「…絶句」がわたしの物書きの原点だったりするので、ちょっとレスつけ
てみましたw

>「ひとめあなたに…」
うん、確かそうですね。章毎に分かれてて、恋人の肉を食べながら春を待つ……
ような終り方だったかしら?今、手許に無いので内容忘れてますが。。。

>「…絶句」
ハヤカワJAの中では結構ページ数の多い上下巻でしたね。
私もこの辺からSF→JA移行組みで、足を踏み外しましたよ。。。(笑
新井素子と星新一は、私のハヤカワ小説本のジャンル変更の元凶かと。
それからは節操無しにコバルトまで読む始末だし。。。
(確か、新井素子さん、コバルト系にも執筆ありましたよね(笑))

ひとめあなたに…

>うん、確かそうですね。章毎に分かれてて、恋人の肉を食べながら春を待つ……
>ような終り方だったかしら?今、手許に無いので内容忘れてますが。。。

えーと、「ひとめあなたに…」のヒロインはそんな猟奇な女の子ではないですw
途中に出てくる女性が、浮気相手のところに走る旦那を殺害して、バスルーム
で解体、煮込んでポトフーだかなんだかにしてしまうと言う場面が。

# それを食べさせられそうになった…とかじゃなかったけかな。

新井素子のコバルト系作品だと、「星へ行く船」シリーズと「ブラックキャット」シリーズ
ですかねー。この2シリーズと「絶句…」のキャラが血縁関係という裏設定が…。

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